遺言書を書いた後で、 考えが変わるということは珍しくありません。
遺言書は何回でも作成することができます。また変更したい箇所だけ、新たに作成することも可能です。
こちらのページでは、遺言書を変更する方法、また遺言書をなかったことにする方法をご説明しております。
遺言の変更に関しては、民法に以下のような条文があります。
第1023条
「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回してものとみなす。」
したがって一度作成した公正証書遺言を変更するには、
✓ 新しく遺言書を作成する
✓ その中で、元の遺言書の変更したい箇所を「撤回する」と明記
✓ 新しい遺言内容を記す
ことで変更ができます。
新しく作成する遺言書は公正証書でも自筆証書でも構いません。
つまり、自筆証書遺言と公正証書遺言の間に優劣関係はありません。
ただし、後に書いた自筆証書遺言に様式の不備があり無効となると、古い遺言書がそのまま有効となりますのでご注意ください。
以下に公正証書遺言の一部を自筆証書遺言で変更する文例をご紹介します。
参考になさってください。
※元の遺言が自筆証書遺言で、手元で保管している場合は、元の遺言を破棄して新たな内容の遺言を作成すれば済みます。
遺言書
遺言者横浜太郎は、平成○○年〇月〇日作成の平成○○年第○○号公正証書遺言書中、第3条の「妻花子に相続させる」とする部分を撤回し、「長男一郎に相続させる」と改める。
その余の部分は、すべて上記公正証書遺言のとおりとする。
令和6年7月7日
鎌倉市○○1-2-3
横浜太郎 ㊞
2022.2.25『終活30秒講座』vol.97より
遺言書を書いた後、遺言書の内容が実現されるまで相当な期間があります。
10年20年も普通です。
その間に家族増えたり減ったり、その他ご事情が変わることは当然にあると思います。
遺言書は何回でも書くことができ最新のものが有効となりますので(民法1023条)
その時のご事情に応じて新しく遺言書を書けば、最新の内容に上書きされます。
では、以前書いた遺言書をただ無かったことにしたい場合はどうすればいいでしょうか。
その場合は遺言書の撤回をします。
撤回するためには、所定の書き方で撤回する旨の書面を作成します(民法1022条)。
手元にあるのが自筆証書遺言の場合には破棄をすることでも撤回できます(民法1024条)。
しかし公正証書遺言の場合は原本は公証役場に保管されておりますので手元で保管している公正証書遺言を破棄しても撤回したことにはなりませんのでご注意ください。
以下に遺言書を撤回する文面の一例をご紹介します。参考になさって下さい。
相続人が遺言書を書き替えることは改ざんにあたり、当然のことながら許されません。しかし相続人が話合いで、遺言書の内容と異なる相続を行うことは可能です。
ただしそのためには、相続人全員が相談のうえ合意をし、合意した内容で遺産分割協議書を作成し、実印にて捺印をする必要があります。
1人でも合意に反対する相続人がいる場合はできません。したがって決して簡単なことではありませんが、方法としては可能です。
遺産分割協議について詳しくはこちらを参考になさってください。
遺言は財産の円滑の承継のために大活躍するとても重要な文書です。
事情やお気持ちが変わったら、その都度変更することも可能ですから、上記の文例などを参考に、是非今のお考えを遺言に残していただきたいと思います。
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