遺言書と生命保険

生命保険では、保険金が受取人に直接渡るため、遺言書と似たはたらきをします。さらに相続税の非課税枠もありますので、遺言書を作成する際には生命保険の活用も併せてご検討されてはいかがでしょうか。

 

遺言書と生命保険

 

遺言書と生命保険には以下のように似た性質があります。

遺言書で、A銀行の預金をBに相続させるとするとします。

するとA銀行の預金は相続財産の枠から外され、そして将来Bが受け取る、というのが遺言の仕組みです。


その点生命保険も同じようなはたらきをします。
生命保険を掛けると、その生命保険金は相続財産の枠から外されて直接受取人に渡るからです。

 

生命保険と遺留分

財産を、遺言ではなく生命保険金にかえて渡すことは、遺留分の対策になります。

ご自分の財産は遺言により、誰にどれだけ遺すか決めることができます。しかし一定の相続人には最低限の遺産の取り分である遺留分があるため、遺言書を作成するときは遺留分への配慮が必要ですが、財産を生命保険金にすることでこの遺留分を減額することができるのです。

例えば5,000万円の財産を、相続人である二人の娘のうち長女に4,000万円を相続させ、次女に1,000万円相続させる遺言をしたとします。

この場合、次女には1,250万円の遺留分があるため、このような遺言は、次女の遺留分を侵害することになってしまいます。

(もっとも遺留分は権利なので、行使するかどうかは別の問題です)


しかし5,000万円の財産のうち、2,000万円を長女を受取人にした生命保険金とすれば、相続財産は3,000万円に減ります。

生命保険金は受取人固有の財産であり、相続財産ではないからです。
(昭和4022日最高裁判例)


そして次女の遺留分も750万円に減ります。


次に相続財産の3,000万円について、長女に2,000万円、次女に1,000万円を遺言で相続させることにすれば、次女の遺留分を侵害することにはなりません。


このように、より多くの財産を渡したい相続人がいる場合は、生命保険金にかえて財産を渡すことで、財産を渡したくない相手の遺留分をあらかじめ減らすことができるのです


もっとも極端な生命保険のかけ方をして、他の相続人との間に著しい不公平が生じてしまうような場合は、遺留分の対象と判断されることもありますのでご注意ください。
(平成161029日最高裁判例)

 

生命保険の相続税非課税枠

生命保険の非課税枠

さらに生命保険金には、相続税の非課税枠というメリットがあります。

生命保険を掛けると法定相続人数×500万円まで課税財産を減らすことができるのです。
これは遺言書にはないはたらきです。

生命保険は、遺言書と同様に財産を渡す相手を特定できるだけなく、さらに相続税対策にもなるのです。

 

こちらに計算例をご紹介します。参考にしていただき、有効にご活用ください。

非課税枠の計算例

 

相続人:配偶者と子ども2人(合計3人)
財産の総額:6000万円

相続税の基礎控除:6000万ー(3000万+600万×3)=4800万

相続鋭が課税される財産:6000万ー4800万=1200万

 

このままですと、1200万円の財産に対し、相続税が課税されます。相続税額の目安は総額で60万円です。

ここで、生命保険の非課税枠を取り入れると、


生命保険の非課税枠:500万×3=1500万



仮に1500万円の生命保険をかけていれば、1200万円-1500万=-300万


となり、相続税は課されないという結果になります。

生命保険

 

ところで相続税対策を考えるときはすでにかなりの年齢であることも少なくないと思います。

加入できる年齢を超えていて残念!ということもあるかもしれません。

けれども生命保険会社は何十社もあります。


ある会社の保険では85歳までしか加入できなくても、他の会社では90歳まで加入できる場合もあります。

また同じ会社でも取り扱い先で品ぞろえが異なることもあるようです。

生命保険選びでお悩みのときは、専門家にご相談ください。

生命保険と税金


生命保険は誰が受取人になるかにより課税される税金が相続税、所得税、贈与税と異なりますのでご説明します。


【契約者=被保険者の場合は相続税】


夫が自分の万が一に備えて契約した場合など、例えば「契約者と被保険者が夫、保険金受取人は妻」の契約の場合は上述のように「相続税」の対象となります。



【契約者=保険金受取人の場合は所得税】


夫が妻の万が一に備えて契約した場合など、「契約者と保険金受取人が夫で、被保険者が妻」の契約の場合は「所得税」の対象となります。

保険料を支払った本人が受け取ったお金は、原則「所得税」の対象となります。



【契約者被保険者保険金受取人の場合は贈与税】


夫が妻の万が一の場合に、子どもが保険金を受け取る契約をした場合など、「契約者と被保険者と保険金受取人が別々」の契約の場合は、「贈与税」の対象となります。

契約者から保険金受取人への「贈与」と同じだからです。



このうちもっとも税負担が少ないのが相続税です。

死亡保険金には遺された家族の生活保障という役割があるため、受け取る人が法定相続人の場合は税負担が少なく抑えられるようになっているのです。
さらに生命保険金には、上述のような相続税の非課税枠というメリットがあります。

 

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