無効の遺言書
こんな書き方にご注意を!

遺言書 書き方 無効

自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、様式の不備で無効になったり、また内容によってはかえって争いの元になってしまうことが少なくありません。

無効の遺言書の例と、無効にならない書き方のポイントをご紹介しております。参考になさってください。

遺言書が無効になる場合とは

 

遺言書は法律で書き方が細かく決められいる文書です。

そのため決まりにそって書かれていない遺言書は、無効になってしまう可能性があります。

 

遺言書の書き方のポイントは次の3点です。

✓ 誰に何を相続させるか明確に書く

✓ 書いた年月日を正確に記す

✓ 署名と捺印をする

この3つを、消せないペンで、自分の手で書きます

これらが欠けると無効となりかねませんのでご注意ください。

 

また曖昧な記載は無効にはならなくても、それが原因で争いになる場合があります。

できる限り明確に書くように心がけてください。

 

以下に無効の遺言書の一例をご紹介しますので参考になさってください。

 

無効の遺言書の一例

あいまいな遺言書は無効になる可能性がある

 

自筆証書遺言では「財産については○○にまかせる」「相続のことは○○にまかせる」という記載が時々見受けられるようです。

この「まかせる」ですが、財産を遺贈する、という意味なのか、それとも単に手続きを任せるという意味なのか、解釈が難しいです。



「まかせる」の言葉をめぐっては、実際に裁判になっており、判例が複数でております。

昭和61年の東京高裁の判例では、「『まかせる』という言葉は、本来、「ことの処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。』ことを意味するにすぎず、与えるという意味を全くふくんでいない」として、財産の遺贈と認めるには足りないと判示しました。
(東京高裁昭和61年6月18日)

 


一方で、「すべてまかせる」と記載されている自筆証書遺言について、遺産を遺贈する趣旨の遺言と判断した判例もありますが、
(大阪高裁平成25年9月5日)

「まかせる」遺言のような、あいまいな書き方はおすすめできません。



財産を譲りたい場合は「相続させる」ないし「遺贈する」とお書きください。



こちらで有効な
遺言書の具体的な書き方と文例をご紹介します。

参考にしていただけましたら幸いです。

 

有効な遺言書の書き方と文例

自筆証書遺言書の無効にならない書き方をご説明します。

ポイントは次の3点です。

✓ 誰に何を相続させるか明確に記載する

✓ 書いた年月日を正確に記す

✓ 署名と押印をする

この3つを、消せないペンで、自分の手で書きます

 

できるだけ明確な書き方をするのが望ましいです。したがって「誰」については氏名の他、生年月日も記載しておくとよいでしょう。

 

印鑑については、遺言書の信ぴょう性を上げるため、実印がおすすめです。

遺言書

 

遺言者 書き方太郎は、次の通り遺言する。 

 

1.遺言者は遺言者の有する次の財産を遺言者の妻書き方花子(昭和20年3月3日生)に相続させる。 ※1

(1)土地  ※2

所在 横浜市遺言書区文例通一丁目   

地番 ○○番○○

地目 宅地

地積 200平方メートル

(2)建物

所在 横浜市遺言書区文例通一丁目○○番地○○

家屋番号 ○○番○○

種類 居宅

構造 木造合金メッキ鋼板ふき平屋建て

床面積 50平方メートル

 

2.遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男書き方一郎(昭和50年1月2日生)、遺言者の次男書き方次郎(昭和53年2月3日生)に各2分の1の割合で相続させる。

(1)預貯金

 遺言銀行 要件支店 普通預金12345

 文例銀行 要件支店 普通預金23456

 

3.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。※3

   横浜市遺言書区書き方前1-23

   行政書士法人遺言書事務所  

 

令和4年3月3日 ※4

 

横浜市遺言書区文例通一丁目○番地○  

書き方太郎 印 ※5

 

※1相続人に財産をのこす場合は、「渡す」や「贈る」ではなく「相続させる」と書く

 ⇒相続人以外に財産を遺す場合

※2 財産目録に限りコピーの添付、パソコン書きも可

※3 遺言執行者についてはこちら

※4 遺言書を書いた日付を明確に

 (〇月吉日などはNGです)

※5 署名と捺印。実印がベスト。

 

☆ 遺留分にご配慮ください。

  ⇒相続させたくない相続人がいる場合

☆ 用紙について

用紙に決まりはありません。便箋レポート用紙などをお使いください。但し法務局に預ける場合はA4サイズ限定です。こちらの用紙を印刷してお使いください。

 

 

無効にしないため気を付けたいこと

無効にならない遺言書

せっかく書いた自筆証書遺言を無効にしないため、上記の書き方のポイントの他、次の点にもご留意ください。
 

訂正の仕方にも決まりがある

 

自筆証書遺言では、訂正方法にも民法による決まりがあります。

もし書き間違えた場合は、正しい訂正方法で訂正しないと、無効になってします可能性がありますのでご注意ください。

訂正方法はこちらでご説明しております。

遺言書は封筒に入れる

改ざんを防ぐため、書き上げた遺言書は封筒に入れ糊付けするのが望ましいです。
印鑑証明書を同封するとさらに良いと思います。 
 

遺言能力について

 
遺言書は法的な効果をもつ文書ですので、前提として、充分な判断能力”遺言能力”があることが必要です。
 
高齢になり、認知症などが進行した後では遺言書は作成できなくなります。
 
遺言書は”遺書”とは異なり、亡くなる間際に書くものではありません。
 
充分お元気な時に書く必要があるものです。
もっとも認知症の診断をうけているということだけで遺言書が書けなくなるわけではありません。
 
ご状況にふさわしい書き方で作成すれば、認知症の方でも有効な遺言書を作成することは可能です。
 
ただ、いくらか配慮は必要となります。
 
認知症の方が遺言書を作成する場合の注意点についてこちらのページでご説明しております。
 
参考になさってください。

遺言書を無効にしないためには公正証書がおすすめ

確実に無効にならない遺言書を作成したいということでしたら、自筆ではなく、公正証書で遺言を作成なさるのが安心でおすすめです。

普通方式の遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言がありますがが、以下のような特徴、メリット・デメリットがそれぞれにあります。

 

 

特徴 長所 短所

公正証書

公証人(裁判官OB等)が遺言者の意向を確認し作成

形式不備がない

改ざん紛失の心配がない

手書き不要

出張可

手間と費用がかかる

証人2名必要

自筆証書

遺言者が自筆で本文の全文日付氏名を書き押印

財産目録はPC,コピー可

遺言者が一人で作成可

費用がかからない

形式不備・紛失などトラブルが起きやすい

家庭裁判所にて検認必要

秘密証書

遺言者が作成済封印した遺言書を公証人が認証

本文全文,財産目録ともPC可

公証人が認証

改ざんの心配がない

紛失の可能性あり

検認必要

証人2名必要

 

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人の関与のもと行う遺言ですので、不備により無効になる心配はありません。

作成に際し、公証人が本人の意思と内容を確認し、また2名以上の証人が立会いますので、遺言の有効性に疑いをもたれることもほとんどありません。

また原本は公証役場で保管されますので紛失・改ざんの問題もありません。

したがって確実な遺言書を遺したい、という方には公正証書遺言がおすすめです。

確実に無効にならない公正証書遺言で、お悩みを安心に変えていただけましたら幸いです。

 

遺言書の作成のご相談は

遺言書作成の相談

グレイスサポート代表の松下です。
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遺言は財産の円滑の承継のために大活躍するとても重要な文書です。

事情やお気持ちが変わったら、その都度変更することも可能ですから、上記の文例などを参考に、是非今のお考えを遺言に残していただきたいと思います。

またグレイスサポートでは、定期的に遺言書のオンラインセミナーも開催しております。無料のオンラインのセミナーとなっておりますのでご興味のある方は是非お気軽にご参加ください。

またご相談も随時受け付けております。初回ご相談は無料で対応いたしますのでこちらもどうぞお気軽にお問合せください。

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