代償分割とは、相続人の一人がある相続財産を相続する代わりに、他の相続人に代償を支払う分割方法のことです。このページでは代償分割の方法と注意点、遺産分割協議書の書き方をご紹介しております。

 

 

代償分割とは

 

代償分割とは、主な遺産が不動産であるなど現物のみでは分割が難しい場合に、遺産を多く相続する相続人から、少なく相続する相続人に対し、代償金を支払うことで遺産を分割する方法のことです。

 

なお遺産の分割方法には、代償分割の他に、換価分割、現物分割があります。

換価分割:相続財産を売却してその売却金を分割する方法

現物分割:財産をそのまま分割する方法

代償分割のメリット

 

代償分割には次のような場合にメリットがあります。

主な遺産が不動産のみというケースは少なくありませんが、不動産は分割しにくい財産であることから分割が困難になりがちです。

もし不動産を分割せずを共有(共同で所有すること)で相続してしまうと、相続人の代だけでなく、相続人の子の代まで共有状態が続く可能性があり、後々のトラブルにつながりかねません。

そのような場合に、「代償分割」を利用すれば、のちのち円満な遺産分割を行うことができるのです。

代償分割では、不動産を共有にするのではなく、相続人の一人が相続する代わりに、他の相続人には代償金を支払います。

 

例えば以下のようなケースが考えられます。

 

例1)遺産 :自宅のみ

   相続人:複数

自宅を相続する相続人が他の相続人に代償金を支払う

例2)遺産:預金(3,000万円)・自社株(1億円相当)

   相続人:2人

      :自社株は経営を引き継ぐ相続人が単独で相続

会社の経営を承継する相続人が自社株を、もう1人の相続人が預金を相続し、自社株を相続した相続人がもう1人の相続人に代償金を支払う

 

このように、代償分割は、遺産において、分割しやすい財産である現金や預金の割合が少なく、分割しにくい財産の割合が大きいときにメリットが大きい分割方法と言えます。

代償分割の方法

 

代償分割を行うには、その旨を遺産分割協議書に記載します。

代償金の支払いを確実にするためと、代償金の支払いが贈与ではないことを明確にし、贈与税が課税されないようにするためです。

 

代償分割の遺産分割協議書には下記の項目を記載します。

✓被相続人(亡くなった方)の氏名
死亡日
最後の住所、本籍
誰が何を相続するか
相続人全員で話し合って合意した旨
作成年月日
相続人全員の署名捺印(実印)

✓代償金の支払いについて

 

 遺 産 分 割 協 議 書

 

被相続人     山田太郎(令和〇年〇月〇日死亡)

最後の住所 神奈川県横浜市中区〇〇町〇丁目〇番地〇

最後の本籍    神奈川県横浜市中区〇〇町〇丁目〇番地〇

上記被相続人の遺産について、同人の相続人全員において分割協議を行った結果、各相続人が次のとおり遺産を分割し、相続することを決定した。

 

 

第1条 相続人山田一郎は被相続人の有する次の財産を相続する。

 

(1)土 地   

  所  在  横浜市中区〇〇町〇丁目

 地  番  〇番〇 

 地  目  宅 地

 地  積  〇〇.〇〇㎡

 

(2)建 物 

   所  在  横浜市中区〇〇町〇丁目 〇番地〇

   家屋番号  〇番〇

   種  類  居 宅

   構  造  〇造〇〇葺〇階建

   床 面 積    〇〇.〇〇㎡

 

(3)被相続人の未払債務及び葬儀費用並びに遺産整理に伴う一切の費用

 

(4)本協議書に記載なき遺産及び債務費用等

 

 

第2条 相続人 山田一郎は、第1条記載の財産を相続する代わりに、代償金として、相続人 山田次郎に対し、金○○○万円を支払う。

 

 

以上のとおり、相続人全員により遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書○通を作成し、各自1通を保有する。

 

 

                       令和  年  月  日

 

 相続人 住 所  横浜市中区〇〇町〇丁目〇番地〇         

    氏 名         山田一郎 実印           

 

 

相続人 住 所  横浜市泉区〇〇町〇丁目〇番地〇         

    氏 名  山田次郎 実印               

 

 

 

代償分割の注意点

代償分割は、不動産等の分割しにくい遺産を相続した相続人が他の相続人に代償金を支払うことが前提となっておりますが、代償金は、遺産の中からではなく、相続人自身の財産から支払うことになります。

そのため、相続人に支払能力がないときには、代償分割は向きません。

もしすぐに代償金を支払うことができない場合は、代償金を将来支払う、あるいは分割で支払うという合意をすることもできますが、そのことで将来揉めてしまう可能性がありますので注意が必要です。

 

また、代償分割は、分割しにくい遺産の価値を評価して、その遺産を相続しない代わりに代償金を受け取るものです。そのため、相続人間でその遺産の評価が分かれているような場合も難しいでしょう。

代償分割の予備知識

遺産分割協議の基本

代償分割の予備知識として、そもそも相続手続きとはどのようなものか、概要をご説明いたします。

相続人とは

遺産分割協議書 相続人

相続手続きでは、相続人全員が話し合い(遺産分割協議)で、どのように遺産を分けるか決めます。遺産分割協議には、全ての相続人が参加をし、全員が合意をする必要があります。

相続人は以下のように法律で決まっております。

常 に:配偶者

第1位:子 

第2位:親

第3位:兄弟姉妹 

※ 子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(被相続人からみた孫や甥・姪)が相続人となります(代襲相続

相続人であることを証明する書面として、戸籍を収集し、遺産分割協議書に添付します。

相続人であることを証明する書面として、戸籍を収集し、遺産分割協議書に添付します。

 

相続財産とは

 

相続人が話し合って分ける財産は、全ての相続財産です。相続財産には次のものが含まれます。

*相続財産に含まれるもの

不動産、預貯金、株・投資信託などの有価証券、自動車、価値のある美術品や宝飾品、家財一式、および負債

*相続財産に含まれないもの

祭祀財産(お墓、仏壇・仏具など)、相続人が受取人の生命保険金※

※相続人が受取人である場合は、はじめから受取人固有の財産であるため、遺産分割協議の対象にはなりません。

遺産分割協議書について

相続人全員が話し合って合意した内容は、遺産分割協議書という文書にまとめます。遺産分割協議書は書き方が厳密に決められているわけではありません。上述の代償分割の場合と同様、一般的には以下の項目が記載されていれば問題ありません。

✓被相続人(亡くなった方)の氏名

死亡日
最後の住所、本籍
誰が何を相続するか
相続人全員で話し合って合意した旨
作成年月日

相続人全員の署名捺印(実印)

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