不動産を生前に確実に次の世代の人に渡したい場合におすすめの遺言書の書き方とメリットについて解説します。
生前に確実に、次の世代の人、たとえば長男に不動産を渡したい場合どのような方法があるでしょう。
いちばん単純で確実なのは登記してしまうことでしょう。
不動産の名義を長男に変更すれば確実です。
ただ不動産の名義を変更するには相応の理由が必要です。
このよう場合は贈与が理由になるでしょう。
現在の登記名義人である親から長男へ不動産の贈与をし、贈与契約書を作ります。
それを登記所(法務局)に持って行って長男名義に変更登記をするのです。
(登記のためには贈与契約書の他にもいろいろな書類が必要です)
これがいちばん確実な方法だと思います。
ただし、生前贈与は確実である一方、大きなデメリットもあります。
それは税金がとても高いということです。
不動産の生前贈与には次の税金がかかります。
生前贈与にかかる税金
● 贈与税
● 登録免許税
● 不動産取得税
順番にご説明します。
【贈与税】
贈与税は税率がとても高い税金で、不動産のような高額な贈与は税率が50%を超える場合もあります。
もっとも2024年1月に相続時精算課税制度が改正になり、同制度を使えば2500万円までは贈与税がかからず相続時に相続税で精算ができます。
また贈与税がかかる部分も、税率が抑えられてます。
ただし相続時精算課税制度は適用できる場合が限られており、また適用すると他の相続税の特例が使えなくなる場合もあります。
税理士への事前の相談が不可欠です。
【登録免許税】
登録免許税は登記するときにかかる税金ですが、場合によって税率が大幅に異なります。
贈与の場合の登録免許税は税率が高く、固定資産税評価額の2%です。
【不動産取得税】
税率が固定資産税評価額の3%の不動産取得税もかかります。
遺言に、不動産は長男に相続させると書けば、相続発生時に長男が不動産を
受け継ぐことができます。
遺言の書き方はとても簡単です。
下記に不動産を長男に相続させる遺言の一例とポイントをご紹介します。
遺言書
遺言者 横浜太郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は遺言者の有する次の財産を遺言者の長男横浜一郎(昭和40年3月3日生)に相続させる。 ※1
(1)土地 ※2
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 200平方メートル
(2)建物
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種類 居宅
構造 木造合金メッキ鋼板ふき平屋建て
床面積 50平方メートル
2.遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の次男横浜次郎(昭和50年1月2日生)、遺言者の三男横浜三郎(昭和53年2月3日生)に各2分の1の割合で相続させる。
(1)預貯金
遺言銀行 要件支店 普通預金12345
文例銀行 要件支店 普通預金23456
3.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。※3
横浜市遺言書区書き方1-23
行政書士法人遺言書事務所
令和6年6月21日 ※4
横浜市遺言書区文例通一丁目○番地○
横浜太郎 印 ※5
長男の名義に変更できるのは相続の時まで待たなければなりませんが、
長男が不動産を相続することに同意しない他の相続人や家族がいても問題ありません。
税金も、生前贈与ほど高くなりません。
相続時にかかる税金は次の二種類です。
(不動産取得税は課税されません)
相続時にかかる税金
● 相続税
● 登録免許税
【相続鋭】
相続時には相続税がかかりますが、相続税は基礎控除額が大きく、上回る部分にのみ課税される税金です。
● 相続税の基礎控除額
3000万円+(600万×法定相続人数)
【登録免許税】
登録免許税の税率は、相続の場合は贈与の5分の1で、固定資産税評価額の0.4%です。
生前贈与と遺言では税金がこのように違います。
それに時期の違いはあってもどちらも最終的には長男が不動産を取得し、長男の名義に変更することができます。
不動産を確実に長男に渡したい方の簡単にできる対策として遺言はおすすめです。
遺言のメリット
● 最終的に長男の名義に変更することができる
● 贈与に比べ税金がかからない
最後に遺言を作成する際のポイントをお伝えします。
遺言で確実に不動産を渡したい場合は次の点にご注意ください。
遺言には主なものに次の2種類があります。
主な遺言の種類
● 公正証書遺言
● 自筆証書遺言
確実にしたい場合は公正証書遺言がおすすめです。
自筆証書遺言は文字通り自分で手書きをする遺言です。
費用も手間もかからず簡単に作成できますが、その分真正に疑いがもたれたり、
改ざん、紛失の心配があります。
一方で公正証書は公証人が作成する公文書ですので、そのような心配はありません。
上述では自筆証書遺言の書き方をご紹介しましたが、より確実にするためには、公正証書にすることをおすすめいたします。
遺言には主なものに次の2種類があります。
遺言によって、自分の決めた相手に特定の財産を渡すことができますが、他にも相続人がいる場合はその遺留分に注意する必要があります。
相続人には順番があり、配偶者、親、子が相続人となる場合は一定の取り分である遺留分を請求できます。
不動産を長男に相続させるためには、他の相続人から遺留分を請求されたときに支払えるよう換価しやすい財産も残しておく必要があるでしょう。
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