公正証書遺言ではなぜ証人の立ち合いが必要なのでしょうか。
そしてどのような人が証人になれるのでしょう。
文書作成の専門家である行政書士がわかりやすく解説します。
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人の関与のもと行う遺言です。
遺言には主なものに、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言があります。
このうち公正証書遺言は公証人が起案をします。
作成に際し公証人が本人の意思と内容を確認し、また2名以上の証人の立ち合いのもと完成させるため、遺言の有効性に疑いをもたれることはほとんどありません。
また原本は公証役場で保管されますので紛失・改ざんの心配もありません。
したがって確実な遺言書を遺したい、という方には公正証書遺言がおすすめです。
また公正証書は公証人が作成しますから自分で書く必要がなく、外出が困難な場合はご自宅や施設に出張もしてもらえます。
公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の特徴をご紹介します。
それぞれのメリット・デメリットをご確認ください。
| 特徴 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|
公正証書 | 公証人(裁判官OB等)が遺言者の意向を確認し作成 | 形式不備がない 改ざん紛失の心配がない 手書き不要 出張可 | 手間と費用がかかる 証人2名必要 |
自筆証書 | 遺言者が自筆で本文の全文日付氏名を書き押印 財産目録はPC,コピー可 | 遺言者が一人で作成可 費用がかからない | 形式不備・紛失などトラブルが起きやすい 検認必要 |
秘密証書 | 遺言者が作成済封印した遺言書を公証人が認証 | 本文全文,財産目録ともPC可 公証人が認証 改ざんの心配がない | 紛失の可能性あり 検認必要 証人2名必要 |
証人の役割は、次の3つに整理できるでしょう。
1.署名の証明
証人は、遺言者の署名に立ちあうことで、遺言者が誰かも強いられず自らの意思で公正証書に署名したことを確認します。
これにより、文書の信頼性と正当性が保証されます。
2.内容の確認
証人は、公正証書の作成に立ち会うことで、公正証書の内容が当事者の意思に沿ったものであることを確認します。
3.公証人の補助
公証人が作成した文書が正当であることを証明する補助的な役割もあるといえます。
公正証書遺言の証人になるには以下のような条件があります(民法974条)。
公正証書遺言の証人は法律的に成人と認められる年齢でなければなれません。
2022年4月から18歳で成人となりましたので、証人になるには18歳以上であることが必要です。
公正証書遺言の証人は、遺言者と利害関係のない第三者であることが必要です。
そのため遺言者の家族などは証人にはなれません。
具体的には、以下の人は証人にはなれません。
● 推定相続人(相続人になる予定の人のこと)
● 推定相続人の配偶者及び直系血族
● 受遺者(相続人に限らず、遺言により財産を受け取る人のこと)
● 受遺者の配偶者及び直系血族
● 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
上記より、一番頼みやすそうな遺言者の関係者と公証役場の関係者は
証人にはなれないことが分かります。
そのためご自身で証人を探すのは案外難しいです。
そのようなときは以下の方法で手配できます。
公証役場で公正証書の作成を相談する際に、証人の手配もあわせて頼むことができます。
公証人に直接お尋ねください。
遺言書の作成を、弁護士や司法書士、行政書士などの士業者に相談する方も多いです。
士業者に相談する場合は、士業者が証人もあわせてお引き受けすることがほとんどです。
なお士業者に相談すると、遺言に限らず広い視点から必要な対策の相談もできますし、また遺言に欠かせない遺言執行者も任せられるというメリットもあります。
なお上述のように、専門家に証人を依頼する場合は報酬が発生します。
証人の報酬は1人につき1~2万が相場と思われます。
別途、交通費を支払うこともあります。
遺言は財産の円滑の承継のために大活躍するとても重要な文書です。
事情やお気持ちが変わったら、その都度変更することも可能ですから、上記の文例などを参考に、是非今のお考えを遺言に残していただきたいと思います。
またグレイスサポートでは、定期的に遺言書の書き方オンラインセミナーも開催しております。無料のオンラインのセミナーとなっておりますのでご興味のある方は是非お気軽にご参加ください。
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