相続財産は被相続人(亡くなった人)が死亡時に有していた財産に限られません。
生前に贈与を受けた財産も特別受益として含みますのでご説明します。
(特別受益の持ち戻し)
上記の例で、相続人である母親、長男、長女のそれぞれの相続分を計算してみます。
前提として、各相続人の法定相続分は以下の通りです。
-法定相続分-
配偶者+子 : 配偶者1/2 子1/2
配偶者+親 : 配偶者2/3 親1/3
配偶者+兄弟姉妹 : 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
上記より、配偶者である母親の法定相続分は2分の1、長男と長女は子の法定相続分である2分の1を人数で割った4分の1ずつであることが分かります。
事例では、母親の相続分は1200万円、長男と長女は600万円ずつです。
そして長男は400万円の生前贈与を受けてますから、600万-400万で200万円が長男の具体的な相続分ということになります。
みなし相続財産:2000万+400万=2400万
母親の相続分:2400万×1/2=1200万
長男の相続分:(2400万×1/2)×1/2ー400万=200万
長女の相続分:(2400万×1/2)×1/2=600万
持ち戻し免除の意思表示は口頭や黙示の意思表示でもできますが、もめごとにしないためには遺言などの文書にするのが安心です。
以下に持ち戻しを免除する遺言書の書き方の一例をご紹介します。
遺 言 書
遺言者横浜太郎(以下「遺言者」という)は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、下記記載の預貯金を含む遺言者の有する全ての財産を下記のとおり相続させる。
(預貯金の表示)
○○銀行 ○○支店 12345
○○銀行 △△支店 23456
□□銀行 ○○支店 34567
遺言者の妻 横浜花子(生年月日)に2分の1
遺言者の長男 横浜一郎(生年月日)に4分の1
遺言者の長男 横浜二郎(生年月日)に4分の1
第2条 遺言者は、長男横浜一郎に行った下記の不動産の贈与について、持ち戻しの免除をする。下記不動産は相続財産に加えず、各相続人の相続分を計算するものとする。
(1)不動産
ア 土 地
所 在 書き方市遺言書区遺言町
地 番 10番10
地 目 宅地
地 積 200.00㎡
イ 建 物
所 在 書き方市遺言書区遺言町10番地10
家屋番号 10番10
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺1階建
床 面 積 100.00㎡
第3条 遺言者は、遺言執行者として次の者を指定する。
住 所 書き方市○○区○○2-3
行政書士法人簡単事務所
令和6年8月4日
書き方市遺言書区遺言町2丁目2番地2
横浜太郎 印
遺言は財産の円滑の承継のために大活躍するとても重要な文書です。
事情やお気持ちが変わったら、その都度変更することも可能ですから、上記の文例などを参考に、是非今のお考えを遺言に残していただきたいと思います。
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