死後事務委任契約ではできないことをご説明する前提として、まずは死後事務委任契約と遺言書の違いを区別していきたいと思います。
基準はとても簡単です。
主に財産のこと→遺言書
その他のこと→死後事務委任
と理解していただくと良いと思います。
【財産のこと】
銀行口座や証券口座、不動産や車の相続や遺贈のなどです。
これらのことは、遺言という書式の書面に法律で決められた書き方に従って書かないと、効力を持ちません。
そのため死後事務委任契約ではなく、遺言に書く必要があります。
【それ以外のこと】
財産こと以外になります。
例えば、葬儀や埋葬をどうしたいか、誰に連絡してほしいかなどなど。
これらの事務について生前に誰かに委任しておくのが死後事務委任契約ということになります。
なお、死後事務委任契約については遺言のような法定の書式はありません。
上記を整理すると、死後事務委任契約では財産のことは決められないということが分かります。
つまり、例えば死後事務委任契約で、「○○銀行の口座の名義は長男に変更する」と定めても、銀行窓口で通用しないため、名義変更はできないのです。
そのため、「そろそろ万が一のときのことを考えておかないと」というときは、まずは遺言から検討されるのが順番と考えます。
もっとも遺言書は上述のように、決まった方法で書かないと無効になってしまうというハードルがあり、
まずは遺言書と分かっても手を付けにくいものです。
しかしシンプルな書き方も実はあります。
手書きをしなくてはなりませんが、文字数も少なくとても簡単で、法的にも有効です。
例えば全部の財産を配偶者に相続させるパターンでご紹介すると、下記のような文例になります。
遺言書
遺言者 横浜太郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は、遺言者の有する全ての財産を、遺言者の妻 横浜花子(昭和20年3月3日生)に相続させる。
2.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。
横浜市遺言区文例通り1-23
行政書士法人遺言書事務所
令和6年1月26日
文例市遺言区遺言1-2-3
横浜太郎 ㊞
これなら気軽に書けそうだと思いませんか?
もっとも遺言書には他にもさまざまなパターンが考えられます。
・不動産は配偶者で貯金は子ども
・全ての財産を等分に分ける
などなど・・・
財産の分け方が複雑になると、書く分量はどうしても増えてしまいますが、書き方をこちらのページで各種ご紹介しておりますので参考になさってください。
✓死後事務委任契約で財産のことは決められない。
✓まずは遺言書で財産をどうするかを決める。
✓それからその他の事務について死後事務委任契約を検討する。
死後事務委任契約と遺言書の違い、死後事務委任契約でできないこと、ご理解いただけましたら幸いです。
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