相続が発生すると、財産は基本的に相続人が継承しますが、相続人が全くいない場合はどうなるのでしょう。
手続の流れと生前にとれる対策として遺言書の書き方とポイントについてご紹介します。
相続人が全くいない人が亡くなると、その財産は最終的に国に納められることになりますが
先日(2023年12月24日)の報道によると、2022年度に国庫に納められた相続財産は
768億9444万円
過去最高額になったそうです。
2013年度は336億円でこの9年間で倍以上に増えたことになります。
(NHK WEBより)
近年の少子化で、国庫に納められる財産が年々増加しているようです。
しかしどうして少子化だと国庫帰属財産が増えるのでしょう。
それには相続人の範囲が関係しております。
詳しく見ていきたいと思います。
前述の通り亡くなった方の財産は、相続人に継承されますが、日本の法律では相続人の範囲は次のように決まっております。
配偶者は常に相続人となります。
第1順位のお子さんお孫さんがいない方は、第2順位のご両親が相続人となります。
ご両親も先に亡くなりいない場合は、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。
もし兄弟姉妹の中に、先に亡くなっている人がいてその人に子があれば、その子つまり甥や姪も同時に相続人になります。
しかし相続人になるのは以上で、他の親戚、たとえばいとこは相続人になりません。
そのため、兄弟姉妹や甥姪もいない方は、相続人が全くいないということになります。
相続人のない方が、何もせずにお亡くなりになると、その方の財産は国庫に納められることになるのです。
近年国庫帰属財産が増えているとういことは、少子化に伴い相続人の全くいない方が増えているからといえます。
利害関係人又は検察官が相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てします。相続財産管理人が選任されると官報で公告されます。相続財産清算人には主に地域の弁護士が就任し、相続財産の管理・処分を行います。
相続財産清算人の選任が公告されても相続人が現れなかった場合、被相続人に対する債権者は申し出るよう公告されます。受遺者に対しても同じく申し出の公告がされます。債権者や受遺者が現れその弁済で相続財産が全て無くなれば清算手続きは終了します。
相続が発生したことを知らずにいる相続人もいるかもしれませんので、相続人の捜査が公告されます。もし相続人がみつかった場合は、その相続人が遺産を相続しますので、相続財産清算の手続は終了します。
相続人捜索の公告期間内に相続人がみつからなかった場合、相続人不存在が確定します。確定までの期間は最短で6カ月です。
被相続人と特別な関係にあった人、例えば内縁の配偶者や事実上の養子、献身的な介護を行った親戚などは特別縁故者に該当します。特別縁故者は、相続人不存在の確定後、3か月以内に家庭裁判所に対し財産分与の申し立てをすることができます。
家庭裁判所は特別縁故者に対して財産を分与するか否か、分与する場合にはその金額などを判断します。財産分与の審判にしたがい、相続財産清算人は特別縁故者に対して財産を分与します。
最後に相続財産から相続財産清算人に対する報酬の支払いをします。相続財産清算人は報酬付与の申立をし、家庭裁判所が決定した報酬を受け取ります。
そして残余財産が、国庫に帰属することになります。
相続人のいない方が何も対策せずにお亡くなりになると、上述のような手続きを経て最終的に財産は国庫に帰属することになります。
しかし相続人がいない方でも遠い親戚で親しくしていた人や、その他縁のある方はいらっしゃるのではないでしょうか。
遺言を書くことで、相続人ではない相手にも財産を遺すことができます。
遺言を書くのは難しくありません。それに何回でも書きなおすことができます。相続人がいない方は是非遺言書の作成をご検討ください。
相続人以外の人に財産を渡す遺言書の一例をご紹介します。
遺言で相続人以外の人に財産を渡すことを遺贈といいます。
以下の文例は、1人のいとこに全財産を包括遺贈するものですが、複数の者に一部ずつ財産を渡すことももちろん可能です。
遺言書
遺言者 山田 太郎は、次の通り遺言する。
第1条 遺言者は遺言者の有する財産の全部を換価し、その換価金から遺言者の一切の債務を弁済し、公租公課を支払い、かつ、遺言の執行に関する費用、葬儀・埋葬の費用を控除した残金を、下記の者に包括して遺贈する※1。
記
住所 東京都遺言書区書き方通り1-2
氏名 横浜花子
第2条 遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。
横浜市遺言書区文例通り1-23
行政書士法人横浜事務所
2023年12月31日
横浜市遺言書区書き方通三丁目○○番地○○
山田 太郎 印
※1 相続人以外に財産を渡す場合は、「相続させる」ではなく、「遺贈する」と書きます。
人がお亡くなりになると、借入などがない方でも、最後の入院費用や葬儀埋葬の費用などの未払金は残ります。
未払金は、亡くなったご本人に代わり誰かが清算しなくてはなりません。お一人様の方は上記の見本のように、遺言で遺産から清算できるようにしておくことが大切です。
また未払金の清算以外の死後の事務も、あらかじめ誰かに委任しておくと安心です。
遺言書を清算型にする場合は、遺言執行者を指定することも欠かせません。
遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者が未払金等を清算したうえで、遺産を受遺者に誠実に渡します。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈という二つの方法があります。相続人が全くいないお一人さまの場合は手続き上包括遺贈の方が都合がいい場合が多いと思われますが、一方で包括遺贈は負債も受け継ぐことになりますので慎重な検討が必要です。
包括遺贈を検討される場合は、専門家に相談することをおすすめいたします。
遺言書の書き方に特化したオンラインセミナーを開催します。
講座でお伝えするポイントを参考に、遺言書を正しくカンタンに作成いただけます。書き上げた遺言書は自筆証書遺言としてそのままお手元で保管するのはもちろん、法務局に預けることもできますし、公正証書遺言の原稿としても活用できます。
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