終活30秒講座vol.149より
自筆証書遺言は自分1人で手軽に書ける遺言書です。
そのため「万が一に備えてとりあえず用意しておこう」という場合には、費用もかからずとてもおすすめの遺言書になります。
一方で自筆証書遺言は自己責任で作成する遺言書ですから、無効とならないよう書き方には充分に注意を払う必要があります。
気がかりなのは、自筆証書遺言のなかには
「財産については○○にまかせる」
「相続のことは○○にまかせる」
という記載が時々見受けられることです。
この「まかせる」ですが、財産を遺贈するという意味なのか、それとも単に手続きを任せるという意味なのか解釈が非常に難しいです。
「まかせる」の言葉をめぐっては実際に裁判になっており、判例が複数でております。
昭和61年の東京高裁の判例では
「『まかせる』という言葉は、本来、「ことの処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。』ことを意味するにすぎず、与えるという意味を全くふくんでいない」
として、財産の遺贈と認めるには足りないと判示しました。
(東京高裁昭和61年6月18日)
もっとも、「すべてまかせる」と記載されている自筆証書遺言について、遺産を遺贈する趣旨の遺言と判断した判例もあります。
(大阪高裁平成25年9月5日)
しかし紛らわしい「まかせる」遺言はおすすめできません。
遺言書は法的な文書です。誰が読んでも分かるように、明確に書くことが大切です。
財産を相続人に譲りたい場合は「相続させる」、相続人以外に譲りたい場合は「遺贈する」とお書きください。
遺言書はとにかく分かりやすく、明確に書くことが大切です。
ポイントは次の3点です
● 誰に何を相続させ(遺贈す)るか明確に記載する
● 書いた年月日を正確に記す
● 署名と押印をする
下記に相続人に相続させる遺言書の書き方の一例をご紹介します。
3つのポイントがきちんとおさえられています。
参考にしていただけましたら幸いです。
遺言書
遺言者 横浜太郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は遺言者の有する次の財産を遺言者の妻横浜花子(昭和20年3月3日生)に相続させる。
(1)土地
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 200平方メートル
(2)建物
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種類 居宅
構造 木造合金メッキ鋼板ふき平屋建て
床面積 50平方メートル
2.遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男横浜一郎(昭和50年1月2日生)、遺言者の次男横浜次郎(昭和53年2月3日生)に各2分の1の割合で相続させる。
(1)預貯金
東京銀行 東京支店 普通預金12345
鎌倉銀行 鎌倉支店 普通預金23456
3.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。
横浜市遺言書区書き方1-23
行政書士法人遺言書事務所
令和6年5月9日
横浜市遺言書区文例通一丁目○番地○
横浜太郎 ㊞
遺言書を1人で正しく書くのは不安・・という方は、文例を参考にすると間違いが無く安心して書けます。
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参考にしていただけましたら幸いです 。
遺言は財産の円滑の承継のために大活躍するとても重要な文書です。
事情やお気持ちが変わったら、その都度変更することも可能ですから、上記の文例などを参考に是非今のお考えを遺言に残していただきたいと思います。
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