相続がおきたとき、誰がどれだけ財産を相続することができるのでしょう。
兄弟の法定相続分はどのくらいでしょう?遺留分との違いは?遺言書があるとどうなるのでしょう?
法定相続分の基本についてご説明します。
相続とは、人が亡くなった場合に、その人が有していた全ての財産上の権利義務を、一定の身分関係にある人が継承することをいいます。
亡くなった人を被相続人といい、財産を継承する人を相続人といいます。
相続は、被相続人が亡くなった時に開始します(民法882条)。
遺産の相続には3通りあります。
1.被相続人が遺言書を遺していた場合は、遺言書の指示により遺産を相続します。
2.遺言書がない場合は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で相続します。
3.もし遺産分割協議で合意が得られない場合は、裁判所の調停・審判で遺産を分けます。
上記の3通りのうち、遺言書にて特定の人に継承すると定められたものを除き、遺産は相続人が共有する状態となります。
この共有状態の遺産に対し、各相続人が有している割合が法定相続分となります。
遺産は相続人皆さんの話し合いで、具体的に誰が何を相続するか決めることになります(遺産分割協議)が、遺産を分ける際の目安になるのが法定相続分です。
相続人が誰であるのかは、法律で決められております。
そして法定相続分どれだけ有しているかは相続人によって異なりますので、次に、法律で決められている相続人、法定相続人についてご説明します。
-法定相続人の順位-
常 に :配偶者
第1順位:子
第2順位:親
第3順位:兄弟姉妹
配偶者は、第1位以下の相続人と並んで常に相続人になります。
第1位から第3位というのは優先順位で、第1位にあたる相続人が生存する場合は、第2位以下の方は相続しません。
それぞれについて詳しく見ていきます。
相続人となる配偶者は、法律婚の配偶者に限ります。
内縁関係、事実婚の配偶者は含まれません。
第1順位の子には、実子の他、養子、非嫡出子も含まれます。
第2順位の親には実親の他、養親も含まれます。
第3順位の兄弟姉妹には、半血兄弟(異母・異父兄弟)も含まれます。
上記の他にも、第1順位の子や第3順位の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合などは
その子である孫や甥姪も相続人になります。
これを代襲相続といいます。
-法定相続人の順位-
常 に :配偶者
第1順位:子
第2順位:親
第3順位:兄弟姉妹
上記の各相続人が単独で相続する場合の法定相続分はもちろん全部です。
例えば相続人が配偶者のみの場合は配偶者の法定分は全部となります。
相続人が子のみの場合は子の法定相続分は全部です。
子が複数いる場合は人数で等分されます。
例えば子が3人の場合は3等分となります。
配偶者+子 : 配偶者1/2 子1/2
配偶者+親 : 配偶者2/3 親1/3
配偶者+兄弟姉妹 : 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
順番にご説明していきます。
配偶者の相続分は2分の1、子の相続分も2分の1です。
● 配偶者:1/2
● 子 :1/2
子が複数いる場合は等分します。
例えば子が3人いる場合は、2分の1を3人で割り、1人につき6分の1となります。
-子が3人いる場合-
● 配偶者:1/2
● 子1 :1/6
● 子2 :1/6
● 子3 :1/6
代襲相続があった場合についてご説明します。
上記の3人の子のうち、子3が先に亡くなっていて、その人にも子、つまり被相続人からみて孫が2人いるとします。
このような場合の相続分は、次のようになります。
-代襲相続の場合-
● 配偶者 :1/2
● 子1 :1/6
● 子2 :1/6
● 子3の子1 :1/12
● 子3の子2 :1/12
配偶者の相続分は3分の2、親の相続分は3分の1です。
● 配偶者:2/3
● 親 :1/3
両親とも健在の場合は等分します。
-両親とも存命の場合-
● 配偶者:2/3
● 父親 :1/6
● 母親 :1/6
配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。
● 配偶者 :3/4
● 兄弟姉妹:1/4
兄弟姉妹が複数いる場合は等分します。
例えば兄弟姉妹が2人いる場合は、4分の1を2人で割り、1人につき8分の1となります。
● 配偶者 :3/4
● 兄弟姉妹1:1/8
● 兄弟姉妹2:1/8
代襲相続があった場合ですが、仮に兄弟姉妹1、兄弟姉妹2とも先になくなっていて、
兄弟姉妹1には1人、兄弟姉妹2には2人、それぞれ子がいたとします。
被相続人からみると甥姪にあたります。
同じ立場の甥姪が合計3人ですから、3等分となりそうですが、そうはなりません。
元々の相続人の相続分を代襲することになりますので次の通りとなります。
-代襲相続の場合-
● 配偶者 :3/4
● 兄弟姉妹1の子 :1/8
● 兄弟姉妹2の子1:1/16
● 兄弟姉妹2の子2:1/16
以上が各相続人の相続分となります。
もっとも実際の相続の場面では、必ずこの法定相続分通りに遺産を分けるわけではなく相続人になる人全員の話し合いで合意が得られれば、その合意内容で遺産を分けることができます。
また被相続人が生前に遺言を書いていた場合は、遺言内容に従って遺産が分けられることになります。
つまりあくまで法定相続分は、遺産をわける際の目安となるものです。
遺産を分ける際の具体的な手続の流れについてはこちらのぺージで詳しくご紹介しております。
併せて参考にしていただけましたら幸いです。
法定相続分によらずに、円満に遺産を分けるには生前に遺言書を書いておくのがおすすめです。
以下に遺言書の一般的な書き方の一例をご紹介します。参考になさってください。
遺言書
遺言者 横浜太郎は、次の通り遺言する。
1.遺言者は遺言者の有する次の財産を遺言者の妻横浜花子(昭和20年3月3日生)に相続させる。
(1)土地
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 200平方メートル
(2)建物
所在 横浜市遺言書区文例通一丁目○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種類 居宅
構造 木造合金メッキ鋼板ふき平屋建て
床面積 50平方メートル
2.遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男横浜一郎(昭和50年1月2日生)、遺言者の次男横浜次郎(昭和53年2月3日生)に各2分の1の割合で相続させる。
(1)預貯金
遺言銀行 要件支店 普通預金12345
文例銀行 要件支店 普通預金23456
3.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。
横浜市遺言書区書き方1-23
行政書士法人遺言書事務所
令和6年2月10日
横浜市遺言書区文例通一丁目○番地○
横浜太郎 印
遺言書の書き方について詳しくはこちらでご紹介しております。
併せて参考にしていただけましたら幸いです。
最後に法定相続分と間違えやすい、遺留分についてご説明します。
遺留分は、一定の相続人のために、相続に際し法律上取得することが保障されている遺産の一定の割合のことです(民法1042条)。
遺言書では、遺言者(遺言書を書く人)は、任意に相続分(財産の分け方)を指定することができます(相続分の指定 民法902条)。
しかし遺留分を上回る相続分が指定されている場合は、遺留分権利者(遺留分を持つ相続人)は、遺留分を上回る相続したものに対し、遺留分相当額の支払いを請求することができるのです(遺留分侵害額請求権 民法1046条)。
遺留分を侵害する内容の遺言書は争いのものになりかねません。
遺言書を用意される際は、遺留分にご配慮ください。
もっとも遺留分侵害額請求権は権利ですので、行使するかしないかは、遺留分権利者の判断によります。
遺留分侵害額請求権の行使期間は知った時から1年間です。
各相続人の遺留分の割合は以下の通りです。兄弟姉妹には遺留分がありません。
● 配偶者のみ :1/2
● 子 のみ :1/2
● 親 のみ :1/3
● 兄弟姉妹のみ :なし
相続人が、配偶者と子もしくは親の場合の遺留分の割合は以下の通りです。
● 配偶者+子 : 配偶者1/4 子1/4
● 配偶者+親 : 配偶者1/3 親1/6
相続人が、配偶者と子もしくは親の場合の遺留分の割合は以下の通りです。
遺留分についてさらに詳しくは、こちらのページでご説明しております。
遺留分・法定相続分を無料でチェックできるフォームのご用意しておりますので、お気軽にお試しください。
相続手続きは沢山の書類作成と、調べものの連続です。
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