遺言書と異なる遺産分割協議書は有効?
優先順位と書き方作成法を解説

お子さんのない人の相続人

遺言書があるときでも、異なる内容の遺産分割協議書で遺言と違う相続をすることができるのでしょうか。

優先順位と有効な書き方、作成法について解説します。

遺言書と異なる相続もできる

 

遺言書は、遺言者がご自分の財産の分け方を指示する文書です。

遺言書があれば、その記載内容に従い遺産が相続されます。


しかし遺言書がある場合でも、遺言とは異なる分け方で、遺産を相続することも実はできます。



 

遺言書と異なる相続のためには遺産分割協議書を作成する

遺言に従わず相続人の考えで遺産を分けるためには遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書とは、遺産をどのように分けるか相続人同士が話し合って決めた内容を記した文書です。

遺産分割協議書があれば、その記載内容に従い各相続人が遺産を相続することができます。


つまり、遺言書と異なる遺産分割協議書も有効です。

遺言書があるときでも遺産分割協議書を作成すれば、遺産分割協議書が優先し、その内容に沿って遺産を相続することができるのです。

有効な遺産分割協議書の作成法

 

遺言書と異なる相続をするためには、有効な遺産分割協議書を作成することが必要です。



 

有効な遺産分割協議書とは

 

遺産分割協議書は、民法で書き方が詳細に決められている遺言書とは異なり、法律で書き方が定められているわけではありません。

一般的には以下の内容を明確に記載すれば有効といえます。

 

遺産分割協議書の記載事項

●被相続人(亡くなった方)の氏名

​●死亡日

●最後の住所、本籍

●誰が何を相続するか

●法定相続人全員で話し合って合意した旨

●作成年月日

●法定相続人全員の署名捺印(実印)

遺産分割協議書の一例

遺 産 分 割 協 議 書

 

被相続人:国税庁太郎(令和〇年〇月〇日死亡)

最後の住所    神奈川県横浜市中区分割〇丁目〇番地〇

最後の本籍      神奈川県横浜市対策区沿岸〇丁目〇番地〇

 

上記被相続人の遺産について、同人の相続人全員において分割協議を行った結果、各相続人が次のとおり遺産を分割し、相続することを決定した。

 

 

1.相続人:国税庁花子が取得する遺産及び負担する費用

 

(1)土 地   ※1

  所  在  横浜市中区分割〇丁目

 地  番  〇番〇 

 地  目  宅 地

 地  積  〇〇.〇〇㎡

 

(2)建 物 

   所  在  横浜市中区分割〇丁目 〇番地〇

   家屋番号  〇番〇

   種  類  居 宅

   構  造  〇造〇〇葺〇階建

   床 面 積    〇〇.〇〇㎡

 

(3)預貯金債権、信託受益権、出資金、株式・公社債等の有価証券、共済・保険契約に関する権利、その他の債権及びその他の資産など、被相続人の有する全ての金融資産の〇分の〇

 

(4)被相続人の未払債務及び葬儀費用並びに遺産整理に伴う一切の費用

 

(5)本協議書に記載なき遺産及び債務費用等

 

 

2.相続人:国税庁一郎が取得する遺産

 

(1)預貯金債権、信託受益権、出資金、株式・公社債等の有価証券、共済・保険契約に関する権利、その他の債権及びその他の資産など、被相続人の有する全ての金融資産の〇分の〇 ※2

 

 

 

以上のとおり、相続人全員により遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書○通を作成し、各自1通を保有する。

 

 

 令和  年  月  日

 

 相続人   住 所  横浜市中区分割〇丁目〇番地〇         

    氏 名     国税庁花子 実印 ※3          

 

 

相続人 住 所 横浜市泉区泉町〇丁目〇番地〇         

    氏 名 国税庁一郎 実印               

 

 

 

有効な遺産分割協議書には相続人全員の合意が必要

 

ただしこの遺産分割協議書は、上記の遺産分割協議書の記載事項にもある通り、合意に至って作成したことを記し、その証に法定相続人全員が署名をし実印で押印することが必要です。

法定相続人全員の署名と実印の押印がないと遺産分割協議書は効力をもちません。


そのため合意しない法定相続人が1人でもいると、遺産分割協議書は作成できないことになります。


 

円満な相続には遺言書が大切

 

このようなわけで、遺言と異なる分け方で遺産を相続することは可能とはいえ、遺言書を作成する意味はやはり大きいです。

遺産分割協議に合意しない法定相続人が1人でもいれば、結局遺言通りに相続することになるからです。

特に遺言に遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が職務として遺言通りに名義変更や銀行預金の解約分配など、遺産を分ける手続きを行います。

これに対し法定相続人は異を唱えることはできません。

遺言を確実に実行するには、弁護士や行政書士などの専門家を遺言執行者に指定しておくのがおすすめです。



昨今の相続では、相続人各自が自らの権利を率直に主張する傾向があります。

相続にまつわる争いを避け家族の円満を保つために遺言書が果たす役割は大きいです。


遺言書の書き方は難しいものではありません。

こちらのページで遺言書の書き方を分かりやすくご説明しております。

参考にしていただき、ご用意いただければ幸いです。

 

相続人には法律で決められた順位があります。遺産相続の基本である、相続人の順位について確認しておきましょう。

相続時にかかる税金は2種類あります。相続税と不動産の登録免許税です。相続税は税務署に申告し、登録免許税は法務局で納めます。

遺言書 遺産分割協議書のご相談は

代表の松下です。
あなたのお悩みを解決します!​

相続手続きは戸籍の収集、相続人のお話合いから始まる長く煩雑な道のりです。

グレイスサポートは手続きの専門家である行政書士法人として、これまで多数の相続手続きのお手伝いをしてまいりました。

相続手続きにお悩みの方、ご不安のある方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

ご一家の円満な資産継承のお役に立ちましたら幸いです。

\ 万が一に備えて安心 /

遺産相続セミナーのご案内

相続手続きは沢山の書類作成と、調べものの連続です。

役所に足を運び、戸籍の種類を調べて請求、定額小為替を購入し、宛名書きをし、協議書の書き方を調べて作成・・慣れないことばかりで、段取りよく手続きしないと全部終わるまで1年近くかかることも(;^_^A

この講座では、相続が発生したときに急いでしなくてはいけないことから、ひと段落してから行うべきこと、その手順について分かりやすくお伝えするセミナーです。

また相続手続きに欠かせない書面である遺産分割協議書の書き方について詳しくご説明いたします。

相続は一生の間に何度も経験することではないだけに、何から始めていいのか分からないという方がほとんどです。

いざ相続となったときに慌てないですむように、手軽なオンラインセミナーで備えておきませんか?

知っておきたい相続の基礎知識

会 場:オンライン(YouTubeライブ)※インターネット接続環境が必要です

参加費:無料

特 典:講座を受講してくださった方にはオリジナルエンディングノートをプレゼント

 

お子さんがいない人の相続

エンディングノート『ハーブ』

お子さんがいない人のエンディングノート

エンディングノート『星座』

こちらのページを読んだ方には、下記のページもよく読まれています。ぜひご一読ください。

行政書士法人松下崎山事務所
終活のグレイスサポート

住所

〒231-0002
神奈川県横浜市中区海岸通り4-23
マリンビル508

アクセス

みなとみらい線 馬車道駅徒歩3分
地下鉄ブルーライン 関内駅徒歩8分
JR根岸線 関内駅徒歩10分
駐車場:あり(有料)
 

045-827-3640