遺言書をパソコンで作成しても有効な場合とは?
書き方と注意点

遺言書 パソコンの書き方

文章はパソコンやスマホで書くことが一般的となった現在、まとまった文章を手書きするのはちょっと・・・と思われる方も少なくないと思います。
そこで、遺言書をパソコン書きできる場合についてご説明します。
手書きがネックになっているという方の、参考になればうれしいです。

 

遺言の種類
どのような違いがある?

前提として、遺言書の種類をご紹介します。

遺言書には主なものに以下の3種類があります

● 公正証書遺言
● 自筆証書遺言
● 秘密証書遺言

それぞれの遺言の概要と特徴は以下の通りです。

  特徴 長所 短所
公正証書

公証人(裁判官OB等)が遺言者の意向に沿って作成

 

形式不備・改ざん紛失の心配がない

手書き不要

出張可

 

手間と費用がかかる

証人2名必要

自筆証書

 

自筆で本文の全文を書く

財産目録はPC,コピー可

 

遺言者が一人で作成可

費用がかからない

形式不備・改ざん紛失などトラブルが起きやすい

検認必要

秘密証書

 

 

本文の全文,財産目録ともPC,コピー可

公証人が認証する

 

中身を秘密にできる

手書き不要

改ざんの心配がない

認証の手間がかかる

証人2名必要

検認必要

 

3種類の遺言について、パソコン書き可能がどうかの観点から、以下にご説明します。

公正証書遺言は公証人が作成する

 

公正証書遺言は公証人が作成する遺言です。

遺言者が、遺言に書く内容を公証人に伝えると、文章は公証人が作成してくれます。

つまり遺言者が、自分で遺言の文章を書くことはそもそもありません。

公証人が作成した遺言の内容を確認し、署名捺印して完成です。


なおこの際、遺言者の他、証人2名も立ち合い、署名捺印する決まりとなっております。


どのような遺言を書きたいか、遺言の内容を公証人につたえるのにメモなどを用意されるといいと思いますが

このメモは勿論パソコンで作成しても何ら問題はありません。


以上より、公正証書遺言はパソコン書きが可能、というか、手書きをしなくてもいい遺言といえます。

 

自筆証書遺言は財産目録がパソコン可

 

自筆証書遺言は文字通り、自筆で作成する遺言になります。

遺言書本文は、全文手書きする必要があり、パソコン書きは不可です。

また代書も不可ですので、必ず自分の手で、消せないペンで全文を書く必要があります。


もっとも必ず手書きをしなくてはならないのは遺言書の「本文」です。


財産目録の部分はパソコン書きも可ですので、手書きの分量はさほど多くは
ないと思います。


例えば以下のようになります。

遺言書本文(全文手書き)

遺言書

 

遺言者 横浜太郎は、次の通り遺言する。 

 

1.遺言者は遺言者の有する別紙1の不動産を遺言者の妻 横浜花子(昭和20年3月3日生)に相続させる。 

 

2.遺言者は、遺言者の有する別紙2の預貯金を、遺言者の長男 横浜一郎(昭和50年1月2日生)に相続させる。

 

 3.遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。

   横浜市遺言書区書き方通り1-23

   行政書士法人遺言書事務所 

 

 2024年6月15日

 横浜市遺言書区書き方通三丁目○○番地○○  

横浜太郎 印 

財産目録(パソコン書き・コピーも可)

別紙1 ※1

 

 

登記情報 or

登記簿謄本のコピー

 

 

 

横浜太郎 印 ※3

別紙2 ※1

 

 

預金口座の一覧 ※2

 

 

 

 

横浜太郎 印  ※3

※1 左肩あたりに「別紙1」「別紙2」…と番号をふり、本紙とのつながりを明確にします。

※2 財産目録は、通帳など内容が分かる書面のコピーの他、パソコンで作成した目録でも大丈夫です。

※3 別紙にも必ず署名と捺印をします。

秘密証書遺言はパソコン可

秘密証書遺言は、上述の公正証書遺言と自筆証書遺言のちょうど中間のような遺言です。


自分で作成する遺言ですが、手書きする必要はなく、パソコン書きも可能です。

専門家などに頼んでパソコンで書いてもらうこともできます。

以下に秘密証書遺言の作成法をご紹介します。


1.遺言書を書き、署名押印する



2.封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑と同じ印鑑で封印をする



3.公証役場に遺言書を入れた封筒を持っていく



4.公証人および証人2名の前で、住所氏名と自分が書いた遺言書である旨を申述する



5.公証人が封紙上に、日付と遺言者の申述を記載し、遺言者および証人2名とともに署名押印をし完成

 

まとめ

 

以上がパソコン書きできる遺言書のご紹介となります。

遺言者のご事情はお一人お一人様々です。

ご事情にあう遺言で作成をご検討ください。

 

● 公正証書遺言は公証人が作成するため手書きしないで済む

● 自筆証書遺言は財産目録のみパソコン書き可

● 秘密証書遺言はパソコン書き可

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